定食屋事件簿『おせっかい』

お爺ちゃんが切り盛りする定食屋B。
日替わりがアジフライだったので、迷うこと無く日替わりを注文した。
ナチュラルな状態で常にソーシャルディスタンスが守られており、いつも経営を心配してしまうお店なのだが、その日も例外になく店内は私一人だった。
しばらくするとキャップを被った、いかにも「昼から定食屋で瓶ビールを飲んでそうなオッチャン」が入店。
案の定、瓶ビールを注文した。

事件が発生したのはその時だった。
オッチャン「ひややっこ、おねがい」
店主のお爺ちゃん「はい、ひがわりですね」
・・・
待て待て!
確かにマスク+滑舌の悪さで、かなり聞き取りにくかったし、店主のお爺ちゃんも決して耳が良くは無さそう。かなりミスコミュニケーションが起こる可能性の高い現場だったが、絵に書いたような食い違いが目の前で展開されたのだ。
ひややっこ、を注文して、アジフライ定食が出てきたら、オッチャンはビックリするだろうし、頼んだ頼んでないで揉めること必至。
せっかくのアジフライを堪能している前でそのやり取りを見るのは気分が悪くなりそうだと思ったので、
「あの、、、いまひややっこっておっしゃいましたよ」
と、僭越ながら助言をさせていただいた。

すると、
店主のお爺ちゃん「あ、そうでしたか、ありがとうございます。ひややっこですね?」
オッチャン「ええ」
と、見事にミスコミュニケーションが回避され、ホッと胸をなでおろした。

ひややっこをつまみに瓶ビールを楽しむオッチャン。幸せそうだな。この後は追加で肉じゃがか?などと想像しながら箸を進めていると、次の瞬間ありえない光景を目にするのであった。

店主のお爺ちゃん「はい、日替わり定食です」

・・・
オッチャンの前に、何の迷いもなくアジフライ定食を運んだのだ。
え、もしかして「ひややっこ」と「ひがわり」両方だと思っちゃったのか!!
そう来たか!
せっかく回避されたと思ったミスコミュニケーション、より厄介な状況に!

「頼んでませんよ」「いや、頼まれましたよね」と揉め事になること必至。それに間違いなく助言をした自分にも飛び火してくるだろう。嫌だなあ、と暗い気持ちになってたのだが、なんとオッチャンはなんのためらいもなく、アジフライ定食を受け入れたのだ。

「???」

どういうことだ?混乱した。

1)「頼んでません」を言う勇気がなかった
2)どっちにしろ頼むつもりだったから、まあいいか
3)よくわかんないけどなんか来たから食うか

どれが正解にしろ、正しいことをしたと思っていた助言がなんだか余計な混乱を生んでしまったことは間違いない。

私は知らん顔をし、残りのアジフライをそそくさと平らげ(もっと味わいたかったのに…)、足早に店を後にしたのでした。

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Category : ニッキ

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