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『ペレイラ、米山、そして井林章』

『ペレイラ、米山、そして井林章』

全8回の大人のサッカー教室も、折り返し地点。週1回、1時間ちょっとの時間ではあるが、しっかりとしたコーチにサッカーを教わることで、自らのプレーだけではなく「サッカーを深く見る力」も養われているような気がする。
 
今回、僕達を教えてくれているのは、ヴェルディユース出身の林崇裕コーチ(初代小林裕紀やオサマ世代)。イケメン、そしてコーチングが美声。惚れる。
DF出身ということもあり、守備の指導の際には、とてもわかりやすく丁寧にアドバイスをしてくれる、素晴らしいコーチだ。そんな林コーチが今日言っていた言葉がとても印象に残った。
 
「身体は熱く、頭はクールに。それがディフェンダーの条件。」
 
帰り道、原チャをすっ飛ばしながら、その「身体は熱く、頭はクールに」という言葉について考えを巡らせていると、ひとつの仮説にたどり着いた。
それは、「ヴェルディが安定した成績を残している時期には、『身体は熱く、頭はクール』なディフェンスリーダーがいる」ということ。
 
ヴェルディらしさといえば、「華麗なパスサッカー」とか「やんちゃなドリブラー」とか、どうしても攻撃的な要素に目が言ってしまうが、実際の成績と結びついているのは、ディフェンス面に安定した人材がいる時期なのではないかーーーー
 
 
「身体は熱く、頭はクール」という言葉を聞いてまず思い浮かぶのは、頭脳派将軍こと、米山篤志だ(98〜05在籍)。桐蔭学園時代に李国秀氏の元でプレーをし、李氏が総監督となった99年からヴェルディのセンターバックのレギュラーとして定着。2005年の降格の際に、林健太郎と共に失意の戦力外通告を受けて退団するまで、約7年間、中澤佑二や毎年変わる助っ人外国人を相棒に据え、守備の要としてヴェルディを支えていた。米山の在籍期間中、ヴェルディは低迷期脱出の足がかりとなりそうな、好成績を収めている(実際には足がかりにはならなかったが…)。99年1STステージにはリーグ2位、02年2NDステージには4位、さらに04年には天皇杯優勝。近年のヴェルディで最も成績の良かったこの3シーズン、米山はほとんどフルで出場しているのだ。(99年は29試合、02年は28試合、04年は29試合。共に1シーズン全30試合)
ちなみに、松木安太郎監督の采配により出場機会の少なかった01年(30試合中21試合出場)にはチームは見事に降格争いを演じている。
 
前述の、ヴェルディが好成績を収めた3シーズン、そのチームには目立ったストライカーはいなかった。02年こそエジムンドが躍動したが、99年と04年は目立った助っ人外国人はおらず、99年のチームトップスコアラーはなんとボランチの林健太郎(7得点、ほぼPK)であるし、04年天皇杯優勝は18歳のイ・カンジン以外は日本人選手で固め、飯尾・平本の2トップでカップを勝ち取った。
しかしその影には、やはり米山篤志がいるのだ。99年はまだ駆け出しだった中澤佑二を見事に飼いならしリーグ屈指のセンターバックコンビに成長、04年天皇杯はイ・カンジン、富澤と、こちらも若い2人を統率し、ガンバ・磐田を下したのだ。
 
 
さらに、もう少し時計の針を戻してみると、ヴェルディの黄金期にはペレイラ(93〜95在籍)という偉大なディフェンダーがいた。幼少期の思い出なので、定かではないかもしれないが、ペレイラのイメージは「熱さ、強さ、冷静さ」だ。当時のヴェルディのスターといえば、やはりカズ・ラモス・武田に目が行ってしまうが、ペレイラ自身は94年にJリーグMVPを獲得していることからも、このチームの要の存在であったことは明らか。今でも、歴代最高ディフェンダーにペレイラを推すオールドファンは多いはずだ。
 
 
ペレイラと米山、2人はそれぞれの時代でリーグトップクラスのディフェンダーであった。ペレイラは言わずもがな、米山も00年アジアカップでトルシエジャパン入り。松田・森岡のバックアップではあったが、Aマッチ1試合に出場している。さらに2人は「冷静さ」という観点からもAクラスの結果を残している。ペレイラは在籍3年間、136試合で退場はゼロ。米山は00年に全試合出場で警告ゼロという素晴らしい記録を残し、フェアプレー個人賞を受賞している。センターバックにも関わらずカードが少ない、ということは、強く当たりながらも、常に冷静な判断を続けられている結果なのではないだろうか。2人はまさに「身体は熱く、頭はクール」の体現者だ。
(ペレイラに関しては、マリーシアを使いこなした上での、フェアプレーです。苦笑)
 
 
ヴェルディ黄金期、そして低迷期の中でも成績が良かったシーズン。そこには2人の「『身体は熱く、頭はクール』なディフェンスリーダー」がいた。
時は2015年。抜け出せないJ2の長いトンネル。そんな中、今シーズンは昨年の20位から驚異的な成長を見せ、昇格争いに食い込んでいる。今のヴェルディには、カズやラモスのようなカリスマや、エジムンド、エムボマ、ワシントン、フッキのような規格外の助っ人もいない。
 
そう、そこにいるのは、井林章だ。
 
ヴェルディが好成績を収めるために必要な、「『身体は熱く、頭はクール』なディフェンスリーダー」になれる可能性を秘めている男が、今のヴェルディにはしっかりと存在しているのだ。
井林はヘディングに絶対の自信を持ち、空中戦勝率は70%を超えJ2トップクラスという「強さ」を備えながらも、警告はリーグ94試合出場でわずかに5枚。安在、安西、三竿といった若手の守備陣を統率し、近年のヴェルディにおいては突出した堅守(30節終了時で26失点)を築き上げている。
確かに、慌てて無理なスライディングをしたり、相手に翻弄されてファールでストップ、といったシーンは、今シーズンの井林にはほとんど見られない。キャプテンという重役を背負いながらもしっかりと結果を残すことで、アカデミー出身者が多いチーム内でも厚い信頼を得ているのだ。トップリーグでの経験が無いため、米山・ペレイラと並べるにはまだまだ時期尚早ではあるが、プレースタイルや現状の結果を見れば、2人のような国内トップクラスのディフェンダーになれる可能性は充分あるし、それこそがヴェルディ浮上のための絶対条件でもある。
 
ヴェルディがここからさらに上へ行くために。

米山が残したような、トップリーグでの1ケタ順位やカップ戦制覇。ペレイラが残したようなリーグ2連覇という栄光。その夢の実現は、新世代の「身体は熱く、頭はクール」の体現者である井林章に懸かっているのである!

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Category : フットボール