私、あなたの喋り方すごく好きよ

先週、浜松で「ノルウェイの森」を観てきました。
SHAKA LABBITSのライブが終わった後、ふとシネコンを覗くとレイトショーでやっていたもんで。
一人でふらっと知らない土地で見るのもオツでしょう。
気分はワタナベですよ。

※大した感想ではないけど、内容に少し触れますので見てない方は注意!



村上春樹は、両親が読んでいたこともあり、高校の頃に「風の歌を聴け」を勧められ少しずつ読み始めました。
淡々と繰り広げられる、日常であり日常でない物語、
そして、それぞれの物語の主人公にある種の憧れを感じ、僕自身も好んで読むようになります。

ノルウェイの森は、村上春樹作品の中では一番わかりやすいストーリー展開(それでもかなりひねくれているけど)だし、可愛げな女子も登場する。
それに、読んだ時期が大学入りたてで、主人公のワタナベと同年齢だったということもあり、比較的受け入れられる部分の多い物語なので、映画化を楽しみにしていました。

まず、キャストは皆とても素晴らしかったです。
唯一、直子の菊地凛子はちょっとアクが強すぎるんじゃないかと思ってたけど、
(個人的には鈴木杏が良いのになーって思ってました)
実際に見てみると、おそらく菊地凛子以外に適役はいないと感じるほど。
どもってうまく喋れない感じだったり、ささやくような喋り方が、本当に上手いかと思いきや
泣き喚くシーンでも演技っぽさを全く感じさせず、そのギャップは直子そのもの。

マツケンのねっとりした喋り方も、村上春樹のセリフに最適だし、
何より、ミドリ役の水原希子が大当たりだったと思います。
あの唇は半端ない!
ミドリのエキセントリック感が、あの顔、あの声にピッタリでした。

映像の部分では、前評価も高かったし、独特のカメラアングルも、見ていて気持ちよかったんだけど
もうちょっと細かい部分を表現してほしかったなという印象。
外国人監督だからなのかわからないけど、日本的な良さがあまり無かった感じでした。




ここまでは、映画としては本当に素晴らしいと思うんだけど、
問題はストーリー展開・・・
自分が原作で読んで、とても印象深く心に残ったシーンがことごとくカットされてました。
長編小説を2時間に収めるのはそりゃ大変だとは思うけど、
そこでこのシーンカットしたら全然話の良さが伝わらないんじゃ・・・っていう部分がいくつも。

特に、
・突撃隊が蛍を見せてくれるエピソード
・ミドリの父親にキュウリを食べさせるエピソード
・レイコさんのギターで音楽葬
この3つが無かったのは本当に残念。

追い詰められているワタナベが、ふと心を落ち着かせることのできる場面だけに、
これが抜けているとワタナベの心境の変化が全然わからない。

突撃隊も、ミドリの父親も、あんなちょっとしか出てこないなら意味ないなーって感じです。

そして、直子の死。

自殺の前触れで、レイコさんと一晩過ごすシーンが無いため、あれじゃあ直子がただ単に
気が狂って自殺したみたいになっちゃってる。
さらに、その後レイコさんとワタナベが交わるに至る過程も、音楽葬のシーンが無いために
え、なんでオバサンと寝てんだよ、ワタナベ!って、目が点ですよ。

直子の死って、もっと静かにやってくるような気がするし、そこまで悲劇という感じでもないのだけど、なんだか音楽も映像もちょっとおどろおどろし過ぎてた気がしました。

というわけで、ちょっと芸術点(とエロ点)を稼ごうとしすぎて、物語本来の温かみが薄れてしまった
っていう感想です。
ノルウェイの森は、もっとゆっくり進むべき物語だと思います。
2時間じゃ足りないですね。

スケールが全く違うけど、ソラニンは、原作の温もりと冷たさが実写でも消えてなかったから、映画も受け入れられたような気がしました。

でも・・・
水原希子のミドリはたまらんかったです。(結局そこ)
くちびr(ry

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