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酔っ払いコロリン

一番長く勤めた会社の先輩お二方と、数年ぶりに集まる。
もう一緒に働いていたのは10年近く前になるけど、当時の思い出話(主に愚痴)に花が咲き、今とは違った種類の頑張りで毎日を乗り越えていたんだなぁ、と当時の自分を褒めたい気持ちになった。
いつも胃が痛かったり頭が痛かったり、何かしら不調を抱えていたけど(食べることしか楽しみがなく、ドカ食いして一気に太ったのもこの時期)、それを乗り越えて今がある。「結局はガッツだよな」と、昭和生まれ男性3人が3時間あれこれ話した結論は、極めて昭和的な締めくくりとなり、お開きとなった。

ちなみに、一番楽しかった記憶として残っているのが、社長が帰ったあとに、社長の椅子にふんぞり返って座りながら給料あがんねーなーと愚痴をこぼしていた、深い夜の残業時間だ。今更ながら、監視カメラが設置されていなかったことを願う。

この日は思い出に浸り少し気分が良くなり、解散後に立川で一人フラッと飲み直してみたりして、ほろ酔い気分で駅に向かっていたその時である。

上り階段で前を歩くオッサンが階段に躓いた。
大丈夫かいなと思いつつ、ちょうど踊り場の段だったので、正常な人間であればバランスを取り直して立ち上がるか、最悪受け身を取って倒れるかするだろうと、終電も間近だったので顛末を見届けずに歩みを進めようと思ったのだが、無理にバランスを取ろうとしたオッサンは足がもつれ、よろけながら踊り場をローリング。階段の下に向けて転げ落ちはじめたのだ。
これはまずいと、踵を返して転げるオッサンの服を掴み、落下を防ぐ。小柄なオッサンで良かった。結構な段数もあったしあのまま転げてたら惨事になりかねない。せっかくのほろ酔いも醒めてしまったが、オッサンを救えて良かった。
「すんましぇん」と力のないオッサンの礼を聞き、終電に向け再び歩き始めたのだが、その後もヨロヨロ歩くオッサンが気になる。せっかく救ったのにまた転げられたらたまらない。

子供の顔がボコボコになった状態で帰宅した場合、「ちょっと転んだだけ」と言われても、それは他の理由を疑った方が良い。
しかし、それが酔っ払いのオッサンの場合、本当に「ちょっと転んだだけ」の可能性が極めて高い。

横目でオッサンを監視しつつ改札に向けて歩いていると、案の定、1センチくらいの段差に躓き、ヨロケていた。

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Category : ニッキ