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「サマータイムマシンブルース」
好きな映画は?と聞かれた時、今まではこう即答していたのだけど、今年はそれを揺るがす映画にいくつか出会った。今まで通りスタジアムに毎週末通い詰める生活だったら、映画館に行く頻度も少なく、出会わなかったかもしれないから、コロナにも功罪ある。
その一つは、「サマーフィルムにのって」。
俺の心は、サマー、という言葉にめっぽう弱い。
(実はサマータイムマシン〜もオマージュされてたりする)
映画の感想は少し置いておいて…
この青春真っ盛りの高校生が主役の映画が、30代も半ばに差し掛かろうとしてる男の心にしつこくこびりついてしまったのは、劇中の「ヤングリーフ」という曲が原因だ。
映画も終盤に差し掛かった頃、部室の定点から流れる青春の時間を映し出すシーン。
シンプルなギターリフのイントロと、気だるくも若くて心地よいボーカル。
ざるそばを食いに行きたくなる曲1位が「サマージャム’95」ならば、「ヤングリーフ」はサンダルを突っかけてコンビニにアイスを買いに駆け出したくなる曲1位だ。(俺調べ)
とにかくその曲を聴いてから、忘れかけてた青い心が戻ってきた気がして、帰ったらApple musicで探して聴きまくろう、と張り切っていたのだけど、配信どころか音源すらもレコードシングルのみ数年前に限定発売されただけ。新品はおろか、ヤフオクやメルカリでも出回っていない状態。ひえー、ボタン一つで世界中の曲が聴けるこの時代に!
このまま夏終われない…と追い込まれた俺はメルカリで「ヤングリーフ」という文字列の商品が出品されたらすぐに通知が来る設定にし、さらに、そのレコードが手に入ったらすぐに聴けるように、レコードプレーヤーも購入した。一度決めたら突っ走ってしまう性格なもので。
そして…短パンサンダルの日々が遠く懐かしくなってしまった10月半ば、スマホに、出品されてんぞ!という通知が届き、まあ多少値はしたけど、価値のある中古のものを買うってこういうことだから、と自分に言い聞かして購入。念願がかなって、晴れて家で好きなだけ「ヤング・リーフ」を聴くことができるようになったのだ。
「この配信の時代に、レコード針を落とさなければ聴けない音楽があるんだ…」というエモさに浸りながらも、「出品されたら通知が来る設定」というバリバリ便利なITの恩恵を受けてゲットしたレコード、という矛盾に若干モヤっとしつつも、一回一回針を落として、まさに「擦り減らし」ながら聴く音楽を楽しんでいます。
目を瞑ればハダシとビート板とブルーハワイが。ああ、早く夏に聴きたいから、早く夏になってくれ。
ちょっとだけ聴けます
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封切りのときに武蔵野館にアプリで知り合った映画好きの女の子と観に行った映画。
初めて会った子となんちゅー映画観に行ってんすか。
(その子とは3回武蔵野館で映画を観て3回食事を奢った挙げ句、本命が出来たと連絡が取れなくなった)
『ちいさな独裁者』は邦題で、原題は“Hauptmann”(ドイツ語で大尉の意味)。
ガッカリ邦題が多い中、この邦題には納得。
脱走兵がたまたま見つけた大尉の軍服を着て、身分を偽って横暴を繰り返していく話。
だけそれは結局、「ちいさな」でしかない。あんだけ横暴しといて、お前最後それかよ!というオチを観たあとに、「独裁者」という恐怖感を煽るワードに「ちいさな」をつけるワードセンスが腑に落ちます。(この人身長もちっさいんだけど)
戦争映画を観るときは、残酷な戦争という「ダークサイド」の中にある「ライトサイド」を感じるのが楽しみのひとつ。
ナチスドイツだって、僕らよりたった2世代・3世代前の話。人間そんなに変わらない。子供をぶった切りまくったアナキン・スカイウォーカーだって、ダース・ベイダーだって、結局ライトサイドな心がある。映画の中で戦争に参加している殆どの登場人物は、そんなライトサイドの心を持っている。
主人公ヘロルトも、参謀になるフライタークも、ライトサイドの心を持った一介の市民。それが、戦争という狂った状況の中で、スイッチをパチっと切り替えたようにダークサイドに変わる瞬間を読み取るのが、この映画の一番の面白さかもしれない。でも結局スイッチが切り替わっただけで、「ちいさな独裁者」でしかないんです。
エンディングもとても良くて、120分映画を観せておいて一番伝えたいことはそこに詰まってるんじゃなかなという感じ(もちろん内容見た上で理解できることなんだけど)。ナチスが題材の映画を観ると、こんなにむごい事をして、と必ず思うが、それもすべて今のドイツ、今の世界と地続きなんだ。そんなエンディング。
あと個人的に、どんな映画でも「ハイル・ヒトラー」を面倒くさそうに適当に言うオッサン軍人が好き。ビシッとキメて言うやつにロクなやつはいないよ。
Filmarks https://filmarks.com/movies/81436
主人公のモデルとなったヴィリー・ヘロルト
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佐々木、イン、マイマイン。
柄にもなくパルコに買い物に行こうと坂を登る道すがら、シネクイントの前で目に飛び込んできたこのポスター。
え、どれが佐々木なの?このイケメン?モジャモジャ?
思わず足を止めて、タイトルを検索。
スマホに流れる予告編を観ながら立ちすくし、すぐに上映時間を調べた。
青臭くて突き抜ける疾走感。
自分の過ごした青春や、こう過ごしたかったという幻想の中の青春が入り乱れて、グリグリと心を持っていかれる。
そして大人になってからの淀み、停滞感。
何が正しく、何が間違っているのか。
突き進む事も彷徨う事も、
何かをする事もしない事も、
何も間違いじゃないんだ、と少し救われた気がした。
スクリーンの中に引き込んでくれた役者さん達が凄かったし、静かにグッと心を掴む音楽も、儚い青春時代と淀んだ今を映し出す映像も、脳裏に焼き付いてしばらく離れない感覚。
色んな人に予告編のURLを送りつけることにします。
あー、もう一回観に行こう。
佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!佐々木!
佐々木、イン、マイマイン
https://sasaki-in-my-mind.com/
上映館(近くはシネクイント、武蔵野館など)
https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=TSt31hSv
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ブログを書くことに関しては、3日坊主を地で行っているでお馴染みのキウチです。
誰の糧にもならないからいいや、と思いつつも、書かないことは実は一番自分の糧になっていないということにようやく気が付きました。感じたことを開放すればまた何かが生まれるかもしれない、という期待を持って。
配信サービスのおかげですっかりTSUTAYAにも行かなくなってしまった。何に関してもそうだけど、「便利になって行われなくなった行為」には何にも変え難い価値があったというのを、このご時世になって感じるようになった。
恋人とフラッとTSUTAYAに寄り、何を観ようか、これがいい、あれは嫌だ、結局俺が全く観たくないディズニーの映画に落ち着く。あの時の無駄に思えた数十分には、実は、テレビの前でポチポチリモコンを操作して映画を選んでいるだけでは得られない幸福が含まれていたのだ。(いや、そもそも今恋人いないから補正入ってんじゃん、というツッコミはなしで)
え、恋人がいれば、テレビの前でポチポチリモコン操作して映画選ぶのも楽しいって?
いやいや、TSUTAYAでパッケージ取って裏面のあらすじ読んだりさ、「お互い10分間で観たい映画3本選んでその中から決めよう」とかいって別行動して探したりさ、のれんをくぐる男性に対して「俺は今彼女と来ているから、のれんの中には用は無いのだよ」という無駄な優越感は、テレビの前でポチポチやってるだけじゃあ、感じられんのだよ!
「便利」とは違う角度だけど、こういうご時世になって増えた「配信ライブ」というものに全く興味が湧かないのだ。15年以上ライブに通い続けた大好きなアーティストも、沼にドハマリしたアイドルも、何度が配信ライブを行っていたが、どれもスルーしてしまった。
つまり、自分がライブに求めていたのは「音楽を聴く」ということではなく、「空気を感じる」ことだったのだ。
チケットが手元に届いた時のワクワク。
何時に駅に着いてあそこのロッカーに荷物入れて、終わったあとはあの銭湯に行って…でも終電間に合うかな、と計画する時のソワソワ。
早くお目当て出ないかなと思って聴く気はなかったけど、実は初見の対バン相手もすごく好みだった時の、お得感。
暗くなってSEが鳴った時の胸の高鳴り。
一番好きな曲を序盤にやっちゃった時の、もう満足したから帰ってもいいわ感。
アンコールでブチ上がるのを期待してたのに、静かな曲で締められた時の、それじゃない感。
それを全部含めての「ライブが好き」だったんだ。
配信ライブをして活動をしなければ、アーティストは死んでしまう。俺も好きなアーティストが死んでしまうのは嫌だ。
でもこんなご時世でも、やっぱりライブで感じる事ができるものを、アーティストには求めたい。心が死んでしまう前に!
映画の話をするつもりで書き始めたのに、だいぶ逸れてしまいました…
偉そうにTSUTAYA論について語った自分も、月額を払ってるし…ということでNetflixやAmazonプライムのお世話になっている今日このごろ、次回あたりから観たものを紹介できればいいな…。
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※ネタバレ注意
『まほろ駅前多田便利軒』観てきました。
@吉祥寺バウスシアター
http://mahoro.asmik-ace.co.jp/
2011「まほろ駅前多田便利軒」製作委員会
監督・脚本: 大森立嗣
原作: 三浦しをん
音楽: 岸田繁
主題歌: くるり
出演:瑛太、松田龍平、片岡礼子、鈴木杏、本上まなみ、柄本佑、大森南朋
松尾スズキ、麿赤兒、高良健吾、岸部一徳
配給:アスミック・エース
ここまで、全てがしっくりとハマっていれば、そりゃ面白いでしょう。
瑛太と松田龍平といったら『青い春』・・・とよく目にするけど、もう何年も前に見たっきりだけど、実は瑛太の印象があまりない。どっちかというと新井浩文と高岡蒼甫(あおいちゃんの旦那)が目立ってたような。
この『まほろ駅前』は、何を隠そう『町田駅前』のこと。
町田市も全面バックアップしてたみたいで、惜しげもなく町田の街並みがでてきます。
町田って、なんか絵になるんだよね。立川や八王子じゃ絵にならないのに。
『東京であって東京でない』っていう、地理的にもイメージ的にも微妙な立ち位置が、きっと物語の舞台にはもってこいなのだろうか。
浅野いにおの漫画にしてもそうだし。
世田谷とか練馬でもだめなんだよな。やっぱり町田なんです。
駅前は都会だけどちょっと行くと住宅街と畑と山。そこに住む人は都会的な感覚を持ちつつも、真の都会人ではなくどこか田舎くささ(いい意味で)を持ってる。そういう環境だけで、色々な物語が渦巻いてそうな感じがするもんね。
町田の話はおいといて。
汚ねえ臭そうな作業着でさえも着こなしてしまって見事に便利屋に扮した瑛太と、
飄々とした風貌、喋り方、笑い方、走り方、全てがハマっている松田龍平。
脇も実力のある人達で固められてるし、くるりの主題歌もビッタリ。
原作を読まずに観たけど、5分で世界に入り込めました。
監督の大森立嗣、弁当屋役の大森南朋、便利屋に仕事を依頼する爺さん役の麿赤児。一家で作品に関わっているってのも面白いです。
一番の見所は「なんじゃこりゃーーーーーーー!」だね。笑
原作も読んでみたい!
その後、吉祥寺「ニライカナイ」で泡盛に撃沈。
ラフテーうますぎる。
ちんすこう食った!三日三晩!
楽しい一日でした。
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